STORY

そういえば、一番最後に泣いたのはいつの頃だっただろうか?
両親が死んだ時にも泣かなかった記憶がある
悲しい時に泣くのなら、両親が死んだ事は大して悲しいことではなかったんだろう
嬉しい時に泣くのなら、思い出す限りでは嬉しいことはなかったんだろう

これといって不幸なこともなく、平凡に生きていた
別に不満もないし、このまま流されるままに生きていくんだと思っている
ただ変わっているのは、人の寿命が少しだけ読み取れること
でも、話さなければ気持ちが伝わらないように、
人の寿命が読み取れたって、それを何かしら使わなければ一緒の事

でも、チェーホフの小説でも出たように、
物語の上でピストルが出たのなら、それは使われなければならない
だから歯車がぐるぐると噛み合うように、僕も出会ってしまった
そして向き合うことになる
自分が人の寿命を読み取れるという、救いようもない力に対して